2024年7月末からの株価暴落、覚えていますか?
日経平均は一時ブラックマンデー超えの史上最大級の下落を記録し、S&P500も大きく値を下げるなど、世界同時株安の様相を呈しました。
「まさかこんなことに…」と投資を始めたばかりの方は不安に押しつぶされそうになったかもしれません。
しかし、ご安心ください。
8月に入ると暴落は嘘のように収束し、日経平均もS&P500も驚くべき速度で回復、暴落前の水準に迫る勢いを見せています。
今回の記事では、記憶に新しいこの株価暴落の背景から復活劇の理由、そして今後の見通しについて、日経平均とS&P500それぞれに焦点を当てながら詳しく解説していきます。
この記事を読めば、以下の3つのことがわかります。
- 日経平均・S&P500暴落の真相と復活劇の理由
- 今後の日経平均・S&P500の見通し
- 暴落を乗り切るための投資戦略
投資で成功するには、市場の動向を正しく理解することが重要です。
今回の暴落からの復活劇から何を学び、今後の投資にどう活かしていけば良いのか、一緒に考えていきましょう。
日経平均: 暴落からの復活劇とその背景
まずは、日経平均の暴落から復活劇までの流れを振り返りつつ、その背景を探っていきましょう。
日経平均、わずか2週間で暴落前の水準へ!
2024年8月5日、日経平均株価は前日比440円安という大幅な下落を記録。
その後も下落を続け、8月5日には一時3万1500円台まで値を下げ、7月31日につけた高値3万8617円から7000円以上も下落するという、まさに暴落と言える状況となりました。
ネット上では「日本経済終わった…」「もう株価は戻らない」といった悲観的な声が飛び交い、投資家心理は極度に冷え込んでいました。
しかし、事態は急転します。8月に入ると日経平均は反転攻勢に転じ、8月18日には3万8617円まで回復。
わずか2週間で暴落前の水準にまで戻したのです。
この劇的な復活劇に、市場関係者や投資家からは「予想外の速さだ」「一体何が起きているのか」と驚きの声が上がりました。
なぜ日経平均は短期間で復活できたのか? 3つの要因を解説
今回の日経平均の復活劇は、以下の3つの要因が複合的に作用した結果と考えられます。
① 急激な円高の収束
7月の日本銀行による金融政策決定会合での「利上げ確定」発言を受け、為替市場は大きく変動。ドル円相場は一時141円台まで急騰し、急激な円高が進みました。
この急激な円高が、輸出企業を中心に日本企業の業績悪化懸念を招き、株価下落の大きな要因の一つとなっていました。
しかし、8月に入ると日銀幹部から「市場が不安定な状況では利上げはしない」といった発言が相次ぎ、為替市場は落ち着きを取り戻し始めます。
ドル円相場は147円台まで円安方向に修正し、輸出企業の業績悪化懸念も後退。これが日経平均株価の反発を後押しする形となりました。
② 好調な日本経済指標
日本経済は、物価高騰や円安の影響を受けながらも、底堅い動きを見せています。
2024年4-6月期の国内総生産(GDP)は、前期比3.1%増と、市場予想を上回る高い伸び率を記録。名目GDPは600兆円を突破し、過去最高を更新しました。
個人消費も堅調で、実質賃金も2ヶ月連続でプラスとなるなど、景気回復の兆しが見え始めています。
こうした好調な経済指標が、投資家心理を改善させ、株価の押し上げ要因となったと考えられます。
③ テクニカル要因
今回の暴落は、7月の急激な円高とそれに伴う日本企業の業績悪化懸念、そしてアメリカ市場での株安などが重なったことで、売りが売りを呼ぶパニック的な展開となった側面があります。
そのため、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)から見て行き過ぎた下落との見方も多く、8月に入ってからは、自律反発を狙った買い戻しや、割安感に着目した押し目買いなどが入りやすかったと考えられます。
日経平均、今後はどうなる? 注目ポイントは「次期日銀総裁」
日経平均は、短期的には過熱感も出てきており、一旦は調整局面に入る可能性も考えられます。
しかし、中長期的には、日本企業の業績は堅調に推移すると見込まれており、株価は上昇基調を維持する可能性が高いと予想されます。
今後の注目ポイントは、2024年9月30日に予定されている自民党総裁選です。
岸田首相が不出馬を表明したことで、次期総裁選びは混沌とした状況となっています。
次期総裁が誰になるかによって、今後の金融政策や経済政策の direction が大きく変わる可能性があり、市場関係者は固唾を飲んで見守っています。
特に、金融政策については、次期日銀総裁のスタンスが焦点となります。
現総裁に比べてタカ派的な人物が就任した場合には、早期の金融緩和縮小や利上げ観測が強まり、円高・株安圧力が強まる可能性があります。
一方、ハト派的な人物が就任した場合には、現行の金融緩和政策が維持される可能性が高く、円安・株高が進む可能性があります。
いずれにしても、次期日銀総裁の人事が、今後の日本経済、そして日経平均株価に大きな影響を与えることは間違いありません。
S&P500: 米国株の底力を見せつけた復活劇
続いて、米国株式市場の代表的な指数であるS&P500の動きを見ていきましょう。
S&P500、5500ポイント回復! 米国株の底力を見せつける
日経平均と同様に、S&P500も7月末から8月初めにかけて大きく下落しました。
8月5日には一時5180ポイント台まで下落する場面もありましたが、その後は持ち直し、8月16日には5500ポイント台を回復。
一時の下落幅をほぼ解消し、底堅さを見せつけました。
S&P500復活の要因は? 3つのポイントを解説
S&P500の復活劇を支えた要因としては、以下の3つが挙げられます。
① 米国経済の底堅さ
米国経済は、インフレの落ち着きや堅調な消費に支えられ、底堅さを維持しています。
8月10日に発表された7月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.2%上昇と、市場予想を下回る伸びに鈍化。
エネルギー価格の下落がCPI全体を押し下げる形となりましたが、変動の大きいエネルギーと食品を除くコアCPIも、前年同月比4.7%上昇と、前月から鈍化しました。
これは、FRB(米連邦準備制度理事会)が重視するインフレ指標であるコアPCEデフレーターの鈍化を示唆するものであり、市場ではFRBによる利上げが近く終了するとの観測が広がっています。
また、個人消費も堅調で、7月の小売売上高は前月比0.7%増と、市場予想を上回る伸びを記録しました。
自動車や外食など幅広い分野で売上高が伸びており、個人消費の底堅さが改めて確認されました。
② 企業業績の好調
2024年4-6月期の米国企業の決算発表は、おおむね好調な内容となっています。
S&P500採用企業の約半数が決算発表を終えていますが、このうち79%が市場予想を上回る1株当たり利益(EPS)を計上しています。
特に、ハイテク大手企業の決算が好調で、マイクロソフトやアルファベット(グーグルの持ち株会社)などが市場予想を上回る業績を発表しました。
企業業績の好調が、株価の下支え要因となっています。
③ テクニカル要因
S&P500も日経平均と同様に、7月末からの下落は行き過ぎとの見方が多く、8月に入ってからは自律反発を狙った買い戻しや、割安感に着目した押し目買いなどが入りやすかったと考えられます。
また、米国では、8月が伝統的に株価が上昇しやすい月であることも、S&P500の回復を後押しした可能性があります。
S&P500、今後はどうなる? 大統領選挙と利下げ開始時期が焦点
S&P500は、短期的には、FRBの金融政策や米中関係、ウクライナ情勢など、様々な要因に左右される展開が予想されます。
しかし、中長期的には、米国経済の底堅さや企業業績の好調を背景に、上昇基調を維持する可能性が高いと予想されます。
今後の注目ポイントは、以下の2つです。
① 11月の大統領選挙
2024年11月には、米国大統領選挙が実施されます。
現職のバイデン大統領と共和党の候補者による選挙戦が予想されますが、選挙の結果次第では、米国の経済政策や外交政策が大きく変わる可能性があります。
市場関係者は、選挙戦の行方を注視しています。
② FRBの利下げ開始時期
FRBは、2023年3月から断続的に利上げを実施してきましたが、インフレ鈍化の兆しが見え始めたことを受けて、市場では利上げが近く終了するとの観測が広がっています。
そして、その先には、FRBが利下げに転じるタイミングがいつになるのかということが、市場の大きな関心事となっています。
早ければ2024年内にも利下げが始まるとの見方もありますが、FRBは、インフレが目標の2%に収束するまで、金融引き締めを継続する構えを見せており、利下げ開始時期については、今後の経済指標の内容を見極めていく必要があるでしょう。
暴落を乗り切るための3つの投資戦略
今回の暴落からの復活劇は、市場が予想外の動きを見せることがあるということを改めて認識させてくれました。
今後も、世界経済や金融市場には、様々なリスク要因が存在しており、予期せぬ事態が発生する可能性は否定できません。
だからこそ、投資家は、暴落に動揺することなく、冷静に状況を判断し、適切な対応を取ることが重要です。
ここでは、暴落を乗り切るための3つの投資戦略をご紹介します。
長期投資の視点を持つ
短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、長期的な視点を持って投資することが重要です。
株式市場は、短期的には、様々な要因によって乱高下することがありますが、長期的には、世界経済の成長と共に、上昇トレンドを描いてきました。
たとえ暴落が発生したとしても、それは一時的な調整局面である可能性が高く、長期的な視点を持つことで、冷静さを保ち、狼狽売りを避けることができます。
分散投資を進める
投資先を分散させることで、リスクを軽減することができます。
特定の銘柄やセクターに集中投資していると、その銘柄やセクターが大きく値下がりした場合、ポートフォリオ全体が大きなダメージを受けてしまう可能性があります。
一方、株式、債券、不動産、コモディティなど、異なる資産クラスに分散投資することで、リスクを分散することができます。
また、国内だけでなく、海外にも投資先を広げることで、地理的なリスク分散も図ることができます。
積立投資を活用する
積立投資は、毎月一定額を機械的に投資していく手法です。
これにより、相場が下落している時には、安い価格で多くの口数を購入することができ、逆に、相場が上昇している時には、高い価格で購入する口数は少なくなり、結果として、平均購入単価を抑制することができます。
また、積立投資は、感情に左右されずに、淡々と投資を続けることができるというメリットもあります。
まとめ|暴落を学びに変え、未来に備えよう
今回は、2024年7月末から8月にかけて発生した株価暴落と、その後の復活劇について、日経平均とS&P500を例に解説しました。
暴落は、投資家にとって恐怖体験ではありますが、同時に、多くのことを学ぶことができる貴重な機会でもあります。
今回の暴落からの教訓を活かし、リスク管理を徹底し、長期的な視点を持って投資を続けることが、投資成功の鍵と言えるでしょう。
※ 本記事の内容は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資を推奨したり、特定の金融商品の売買を勧誘するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。
みなさまに選ばれてNo.1