2024年7月、日経平均株価とS&P500が揃って下落しています。
好調だった日米の株式市場に暗雲が立ち込めており、「いよいよ夏枯れ相場か?」と不安視する声も聞こえてきます。
今回の下落は、主に2つの要因が考えられています。
- アメリカによる中国への新たな半導体規制の検討
- 急激な円高
これらの要因が重なり、特に半導体関連株や輸出関連銘柄を中心に、株式市場全体が大きく押し下げられています。
一体何が起こっているのか?
そして、今後の見通しはどうなるのか?
この記事では、現在の市場状況を詳しく解説し、今後の見通しと投資戦略についてわかりやすくお伝えします。
特に、新NISAを始めたばかりの方や、積立投資をしている方、個別株投資に挑戦しようとしている方は必見です!
1. 日米株式市場の現状:主要指数が軒並み下落
まずは、日米の株式市場の現状を、主要な株価指数チャートを用いて確認してみましょう。
2024年7月19日午後1時30分現在、日経平均株価は3万9000円台まで下落し、4万円の大台を割り込んでいます。
(日経平均株価チャート 2024年7月19日時点)
※ チャートは割愛させていただきます。
**アメリカの主要株価指数も、軒並み下落しています。**S&P500とNASDAQは、7月17日(現地時間)以降、続落傾向にあります。
(S&P500チャート、NASDAQチャート 2024年7月19日時点)
※ チャートは割愛させていただきます。
一方、ダウ平均株価は、7月18日までは続伸していました。しかし、翌日19日には下落に転じ、不安定な動きを見せています。
(ダウ平均株価チャート 2024年7月19日時点)
※ チャートは割愛させていただきます。
このように、日米の主要な株価指数が軒並み下落しており、市場全体が弱気なムードに包まれています。
2. 下落の要因を分析:中国への半導体規制と急激な円高
今回の株価下落の主な要因として、以下の2つが考えられます。
2-1. 中国への半導体規制:ハイテク株に打撃
アメリカが中国に対する半導体規制の新たな措置を検討しているとの観測から、米国のハイテク株が大幅に下落しました。
これは、半導体の供給不足や米中対立の激化を懸念した投資家による売りが加速したためです。
**この影響は、日本市場にも波及しています。**東京エレクトロンやディスコ、SCREENホールディングスなど、半導体関連銘柄が軒並み下落し、日経平均株価を大きく押し下げています。
(関連銘柄の下落率)
- 東京エレクトロン:9%安
- ディスコ:9%安
- SCREENホールディングス:8%安
アメリカによる中国への半導体規制強化は、今後さらに進む可能性もあります。
その場合、ハイテク株を中心とした株価下落が長期化する可能性も否定できません。
2-2. 急激な円高:輸出関連銘柄に打撃
もう1つの下落要因は、急激な円高です。
為替相場が円高に振れたことで、自動車や機械など、輸出関連銘柄の業績悪化懸念が高まり、売りが加速しています。
(関連銘柄の下落率)
- マツダ:5%安
- トヨタ自動車:3%安
特に、これまで円安と株高が連動してきた日本市場にとっては、円高への反転は大きな痛手となっています。
円高は、輸入物価の低下や海外旅行の割安感など、消費者にとってはメリットもありますが、輸出企業の業績悪化を通じて日本経済全体に悪影響を及ぼす可能性もあります。
3. トランプ氏の影響力:発言や動向が市場を大きく左右
今回の株価下落には、ドナルド・トランプ前大統領の発言や動向も大きく影響していると考えられます。
トランプ氏は、2024年の大統領選挙への出馬が確実視されており、すでに市場への影響力は非常に大きくなっています。
彼の発言や動向は、市場の不確実性や不透明性を高める要因となり、株価の乱高下を招く可能性があります。
例えば、トランプ氏は2023年7月にブルームバーグ通信のインタビューで、台湾が世界の半導体産業で強い地位を築いていることを問題視し、「彼らはアメリカの半導体ビジネスをすべて奪った」と発言しました。
この発言は、半導体業界の混乱を招き、NVIDIAやAMD、東京エレクトロン、ディスコなど、半導体関連株が軒並み下落しました。
(関連銘柄の下落率)
- NVIDIA:7%安
- AMD:10%安
- 東京エレクトロン:9%安
- ディスコ:9%安
トランプ氏は、為替相場についても、しばしば過激な発言をしています。
例えば、2024年7月には、「我々は大きな通貨問題を抱えている」と発言し、円安を名指しで批判しました。
この発言を受け、円相場は一時的に1ドル155円台まで急騰し、円高が進みました。
このように、トランプ氏の言動は、市場心理に大きな影響を与え、株価や為替相場を大きく左右する可能性があります。
今後、大統領選挙が近づくにつれて、彼の発言や動向にさらに注目が集まるでしょう。
4. 今後の見通し:夏枯れ相場到来か?
現在の市場状況を踏まえ、今後の見通しについて考えてみましょう。
まず、短期的には、夏枯れ相場と呼ばれる株価下落局面を迎える可能性があります。
夏枯れ相場とは、7月から8月にかけて、投資家が休暇を取り、株式市場の取引が減少することで株価が下落しやすい傾向を指します。
今年は、上記で解説した半導体規制や円高に加え、大統領選挙を控えていることから、例年以上に夏枯れ相場が顕著になる可能性も考えられます。
しかし、長期的な視点で見れば、株式市場は成長を続ける可能性が高いと考えられます。
世界経済は、コロナ禍からの回復基調にあり、企業業績も改善傾向にあります。
また、長期投資においては、一時的な株価下落は、むしろ安値で買い増すチャンスと捉えることができます。
特に、新NISA制度を利用した積立投資は、長期的な資産形成に有効な手段と言えるでしょう。
5. 投資戦略:夏枯れ相場を乗り切るために
それでは、夏枯れ相場を乗り切り、長期的な資産形成を実現するためには、どのような投資戦略を取れば良いのでしょうか?
以下に、具体的な投資戦略を3つの視点から解説します。
5-1. 積立投資:コツコツと継続することが重要
長期投資の基本は、積立投資です。
毎月一定額を機械的に投資することで、ドルコスト平均法と呼ばれる効果が働き、価格変動リスクを抑制しながら、効率的に資産を積み立てることができます。
特に、新NISA制度では、非課税期間が無期限になるため、長期投資に最適な制度と言えるでしょう。
新NISAの積立投資枠を活用し、毎月一定額をコツコツと投資し続けることが、長期的な資産形成の成功の鍵となります。
(新NISA制度の概要)
- つみたて投資枠:年間120万円
- 成長投資枠:年間240万円
- 非課税期間:無期限
- 非課税投資枠:合計1800万円
夏枯れ相場などで株価が下落したとしても、積立投資を継続することで、安値で多くの口数を購入することができます。
これは、長期的に見ると大きなメリットとなります。
5-2. 個別株投資:綿密な分析とリスク管理が必須
個別株投資は、積立投資よりもハイリターンを狙うことができますが、その分リスクも高くなります。
特に、短期的な値動きに注目したデイトレードやスイングトレードは、高度な分析力とリスク管理能力が求められます。
夏枯れ相場や大統領選挙など、市場の不確実性が高い局面では、個別株投資は慎重に行う必要があります。
もし個別株投資を行う場合は、以下の点に注意しましょう。
- 徹底的な企業分析:財務状況、業績動向、経営戦略などを分析し、成長性や収益力を見極める
- 分散投資:複数の銘柄に投資することで、リスクを分散する
- 損切りルールの設定:あらかじめ損失許容範囲を設定し、それを超えた場合は売却する
特に、初心者は、個別株投資よりも、リスクが低く、手間もかからない積立投資から始めることをおすすめします。
5-3. スポット購入:下落局面での買い増しチャンス
スポット購入とは、一度にまとまった金額を投資することです。
株価が下落した局面では、スポット購入によって割安な価格で多くの株を購入することができます。
ただし、スポット購入は、積立投資に比べて価格変動リスクが高いため、タイミングを見極めることが重要です。
夏枯れ相場や大統領選挙の結果発表後など、株価が大きく下落する可能性があるタイミングでは、スポット購入のチャンスが訪れるかもしれません。
しかし、スポット購入を行う際は、あくまでも余裕資金の範囲内で行い、無理のない投資を心がけましょう。
6. まとめ:長期投資の視点で市場の動向を見極める
この記事では、日米株式市場の現状と今後の見通し、そして具体的な投資戦略について解説しました。
現在の市場は、半導体規制や円高、大統領選挙などを背景に、不確実性が高く、株価が下落しやすい状況にあります。
しかし、長期投資の視点で見れば、株式市場は成長を続ける可能性が高いと考えられます。
そのため、夏枯れ相場などで株価が下落したとしても、慌てずに積立投資を継続することが重要です。
また、スポット購入は、下落局面での買い増しチャンスとなりますが、価格変動リスクが高いことを理解しておく必要があります。
個別株投資は、ハイリターンを狙うことができますが、その分リスクも高いため、慎重に行う必要があります。
いずれにしても、市場の動向を冷静に分析し、自身のリスク許容度に応じた適切な投資戦略を立てることが大切です。
この記事が、皆様の投資活動の一助になれば幸いです。