「円安が止まらない…この先どうなるの?」
連日、ニュースで円安の話題を目にし、不安に感じている方も多いのではないでしょうか?
一時は落ち着きを見せた円安ですが、再び1ドル140円台に突入するなど、予断を許さない状況が続いています。
本記事では、美容外科医でありながら、個人投資家としても活動する筆者が、今後の円安ドル高の行方について、専門家ならではの視点で徹底解説いたします。
円の価値が下がり続ける「円安」は、私たちの生活に様々な影響を及ぼします。
- 輸入品の価格上昇
- 海外旅行費用の増加
など、家計への負担が増加する一方で、
- 輸出企業の業績向上
- 訪日外国人観光客の増加
など、経済効果も期待されます。
円安は良い面と悪い面の両方を持つため、今後の動向を正しく理解し、適切な対策を講じる必要があります。
本記事では、以下の内容について詳しく解説していきます。
- なぜ円安は止まらないのか?
- 専門家が予想する今後の為替相場の見通し
- 円安によるメリット・デメリット
- 円安を乗り切るための資産防衛術
- 円安に強い投資対象とは?
- 長期的な視点で考えるべき投資戦略
- まとめ|円安はチャンス?ピンチ?
ぜひ最後まで読み進めていただき、今後の円安への理解を深め、自身や家族の資産を守るための対策を立てていきましょう。
なぜ円安は止まらないのか? 円安の根本原因を徹底分析!
まずは、円安が止まらない根本原因を探っていきましょう。
円安は、様々な要因が複雑に絡み合って起こる現象ですが、大きく分けると以下の3つの要因が考えられます。
- 日米の金利差の拡大
- 日本の経済の悪化
- 地政学リスクの高まり
以下、それぞれについて詳しく解説していきます。
日米の金利差の拡大:円売り・ドル買いの流れ加速
円安の最も大きな要因として挙げられるのが、日米の金利差の拡大です。
アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)は、2022年3月以降、インフレ抑制のために、政策金利を大幅に引き上げています。
一方、日本銀行は、長年にわたり**「異次元緩和」**と呼ばれる金融緩和政策を継続しており、日米の金利差は大きく開いています。
金利は、お金の借りやすさ・貸しやすさを示す指標であり、金利の高い国の通貨は、低い国の通貨に比べて有利になります。
なぜなら、投資家からすれば、金利の高い国に投資することで、より多くの利子収入を得ることができるからです。
そのため、日米の金利差が拡大すると、円を売って、金利の高いドルを買う動きが加速し、円安ドル高が進むことになります。
日本の経済の悪化:円安を招く根本的な問題
金利差の拡大に加えて、日本の経済の悪化も、円安の大きな要因となっています。
経済とは、国の経済状況を示す基礎的な指標のことで、具体的には、
- 経常収支
- 財政収支
- 政府債務残高
- 少子高齢化
- 生産性
などが挙げられます。
これらの指標が悪化すると、投資家からの信頼が低下し、その国の通貨は売られやすくなります。
日本は、長年にわたり、
- 貿易赤字の拡大
- 巨額の財政赤字
- 世界 worst レベルの政府債務残高
- 少子高齢化の進展
- 生産性の低迷
といった深刻な問題を抱えています。
これらの問題が改善されない限り、円安圧力は根強く、円安傾向が続く可能性が高いと言えるでしょう。
地政学リスクの高まり:世界経済の不安定化による円安
近年、ロシア・ウクライナ紛争や米中対立など、地政学リスクが高まっています。
地政学リスクとは、戦争や紛争、テロ、政治不安など、世界の政治・経済に影響を及ぼすリスクのことです。
地政学リスクが高まると、世界経済の先行き不透明感が増し、投資家は安全資産とされるドルに資金を逃避させる傾向があります。
この**「リスク回避のドル買い」**も、円安ドル高を加速させる要因の一つとなっています。
専門家が予想する今後の為替相場の見通し
では、今後の為替相場はどうなるのでしょうか?
残念ながら、為替相場は、様々な要因が複雑に絡み合って変動するため、100%正確に予想することは不可能です。
しかし、専門家の間では、**「当面は円安ドル高が続くだろう」**との見方が大勢を占めているようです。
その根拠として、以下の3点が挙げられます。
- FRBの金融引き締め継続
- 日銀の金融緩和政策維持
- 地政学リスクの沈静化見通し立たず
FRBの金融引き締め継続:インフレ抑制のための利上げ継続へ
アメリカでは、インフレがピークアウトしたとはいえ、依然として高止まりしており、FRBは、インフレ抑制のために、今後も金融引き締めを継続するとみられています。
具体的には、2023年内は、政策金利を現在の水準(5.00~5.25%)で据え置いた後、2024年以降、段階的に利下げしていくとの見方が有力です。
日銀の金融緩和政策維持:円安容認姿勢は変わらず?
一方、日本銀行は、**「物価安定目標2%」**の達成を目指し、今後も金融緩和政策を継続するとみられています。
日銀は、2022年12月に、**「長期金利の変動幅の上限を0.5%程度に拡大する」**という政策修正を行いました。
しかし、これは、あくまでも**「金融緩和の持続性を高めるための措置」**であり、金融政策の転換ではないと説明しています。
つまり、日本銀行は、当面の間、現在の金融緩和政策を維持し、円安を容認する姿勢を崩さない可能性が高いと考えられます。
地政学リスクの沈静化見通し立たず:世界経済の不安定化は継続
ロシア・ウクライナ紛争や米中対立など、世界を取り巻く地政学リスクは、今後も沈静化の見通しは立っていません。
これらのリスクが顕在化すると、世界経済の先行き不透明感が高まり、リスク回避のドル買いが強まる可能性があります。
円安によるメリット・デメリット:家計、企業、日本経済への影響は?
円安は、私たちの生活、企業の業績、そして日本経済全体に、様々な影響を与えます。
ここでは、円安によるメリットとデメリットを、具体的に見ていきましょう。
円安のメリット:輸出企業の業績向上、インバウンド需要の回復
円安のメリットとして、以下の2点が挙げられます。
- 輸出企業の業績向上
- インバウンド需要の回復
輸出企業の業績向上:円安は追い風に
円安になると、輸出企業にとっては、自国通貨建ての売上高が増加するため、業績向上につながります。
例えば、1ドル100円の時に1ドルで売れていた商品が、1ドル150円になると、円換算で1.5倍の売上になります。
また、円安は、輸出価格の引き下げ競争を緩和する効果もあり、輸出企業にとってはプラスに働きます。
インバウンド需要の回復:観光業、小売業に追い風
円安になると、外国人観光客にとって、日本旅行が割安になるため、インバウンド需要の回復につながります。
インバウンド需要の増加は、観光業や小売業など、幅広い業種に波及効果をもたらし、日本経済全体の活性化に貢献します。
円安のデメリット:輸入物価の上昇、海外旅行費用の増加
一方、円安のデメリットとして、以下の2点が挙げられます。
- 輸入物価の上昇
- 海外旅行費用の増加
輸入物価の上昇:家計への負担増
円安になると、輸入品の価格は上昇します。
原油や食料品など、多くのものを輸入に頼っている日本にとって、輸入物価の上昇は、家計への負担増につながります。
また、企業にとっても、原材料価格や燃料費の上昇は、コストプッシュインフレを引き起こし、業績を圧迫する要因となります。
海外旅行費用の増加:海外旅行が気軽に楽しめない?
円安になると、海外旅行にかかる費用は増加します。
航空券やホテル代はもちろんのこと、現地での飲食代や買い物代も割高になるため、海外旅行に行きにくくなってしまいます。
円安を乗り切るための資産防衛術:円安による資産減少を防ぐには?
円安は、私たちの生活に様々な影響を与えるとともに、資産価値にも大きな影響を与えます。
ここでは、円安によって資産価値が減少してしまうリスクと、そのリスクを回避するための資産防衛術について解説します。
円安による資産減少リスク:円の価値が下がり続けることで…
円安が進むと、円建ての資産価値は目減りしてしまいます。
例えば、1ドル100円の時に1万ドル(100万円)の資産を持っていた場合、円安が進んで1ドル150円になると、円換算で75万円に目減りしてしまいます。
特に、預金や債券など、円建て資産の比率が高い人は、円安による資産価値の減少に注意が必要です。
資産防衛の基本戦略:分散投資でリスクヘッジ
円安による資産減少リスクを回避するためには、分散投資が有効です。
分散投資とは、「複数の資産に投資することで、リスクを分散させる投資方法」のことです。
具体的には、円建て資産だけでなく、ドルなどの外貨建て資産を保有することで、円安による資産価値の減少リスクをヘッジすることができます。
おすすめの資産防衛方法:外貨預金、外貨建て投資信託、外国株式投資
具体的な資産防衛方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 外貨預金:銀行の外貨預金口座を開設し、ドルやユーロなどの外貨で預金します。
- 外貨建て投資信託:外貨建ての債券や株式で運用される投資信託に投資します。
- 外国株式投資:アメリカの株式市場に上場している企業の株式に投資します。
これらの方法を組み合わせることで、より効果的に資産防衛を行うことができます。
円安に強い投資対象とは?:円安局面でも資産を増やすために
円安は、資産価値を目減りさせるリスクがある一方で、投資によっては、資産を増やすチャンスにもなりえます。
ここでは、円安局面でも資産を増やすことが期待できる、円安に強い投資対象を紹介します。
外国株式:円安メリットを享受できる投資先
外国株式、特にアメリカ株式は、円安に強い投資対象として知られています。
円安になると、円換算での投資元本が増加するため、利益が拡大する効果があります。
また、アメリカは、世界経済を牽引する経済大国であり、今後も安定的な経済成長が見込まれています。
そのため、長期的な視点で見た場合でも、アメリカ株式は魅力的な投資対象と言えるでしょう。
外貨建て資産:為替差益も期待できる
外貨建て資産も、円安局面では有利に働く投資対象です。
外貨建て資産とは、ドルやユーロなどの外貨で保有する資産のことです。
円安が進むと、外貨建て資産を円に換算した時の価値が上昇するため、為替差益を得ることができます。
具体的には、先ほど紹介した外貨預金や外貨建て投資信託などが挙げられます。
輸出関連企業の株式:円安メリットを享受できる日本企業
円安のメリットを享受できるのは、外国企業だけではありません。
輸出関連企業の株式も、円安に強い投資対象として挙げられます。
円安になると、輸出企業は、円換算での売上高が増加するため、業績が向上する傾向にあります。
特に、自動車や電機など、海外売上高比率の高い企業の株式は、円安の恩恵を受けやすいと言えるでしょう。
長期的な視点で考えるべき投資戦略:短期的な値動きにとらわれずに
投資を行う上で重要なのは、短期的な値動きにとらわれず、長期的な視点で投資戦略を考えることです。
為替相場は、短期的には予測が難しい動きを見せることもありますが、長期的には、その国の経済 fundamentals に基づいて動くとされています。
積立投資のススメ:時間分散でリスクを軽減
長期的な投資でおすすめなのが、積立投資です。
積立投資とは、「毎月一定額で投資信託などを購入していく投資方法」のことです。
積立投資を行うことで、
- ドルコスト平均法によるリスク軽減効果
- 時間分散によるリスク軽減効果
が期待できます。
ドルコスト平均法とは、「価格が変動する金融商品を、常に一定額で購入することで、平均購入単価を抑える投資手法」のことです。
また、時間分散とは、「投資時期を分散させることで、リスクを軽減する投資手法」のことです。
積立投資は、これらの効果により、投資初心者の方でも、比較的安心して長期投資を行うことができます。
分散投資と長期投資で資産を着実に増やす
円安が長期化するとの見方が強い中、**「どのように資産を守り、増やしていくか」**は、私たちにとって重要な課題です。
大切なのは、短期的な利益を狙うのではなく、分散投資と長期投資を基本戦略として、リスクを抑えながら、着実に資産を増やしていくことです。
まとめ|円安はチャンス?ピンチ?:正しい知識を身につけて対策を
今回は、今後の円安ドル高の行方について、専門家の視点から解説してきました。
円安は、私たちの生活に様々な影響を与えるとともに、資産価値にも大きな影響を与える可能性があります。
しかし、円安は、決して悪いことばかりではありません。
円安のメリット・デメリットを正しく理解し、適切な対策を講じることで、円安を**「資産を増やすチャンス」**に変えることも可能です。
本記事が、今後の円安への不安を解消し、自身や家族の資産を守るための第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
みなさまに選ばれてNo.1