「5月になったら米国株は売る」
こんな言葉を聞いたことはありませんか?
これは "Sell in May and go away"(セルインメイ) と呼ばれる格言で、5月に株を売って、市場から離れなさいという意味です。
由来は諸説ありますが、5月から10月にかけては市場が低迷しやすいという経験則に基づいています。
しかし、本当に5月に米国株を売ってしまうのは正しいのでしょうか?
特に2023年は 大統領選挙イヤー 。
過去のデータに基づくと、大統領選挙イヤーには独特の市場トレンドが現れることが分かっています。
今回は、セルインメイの真偽、そして大統領選挙イヤーにおける米国株投資戦略について、豊富なデータと過去の事例を交えながら徹底的に解説していきます!
セルインメイは本当?S&P500の月間リターンから検証
まずは、セルインメイの根拠となる、5月から10月にかけての市場低迷について検証していきましょう。
以下の表は、1928年以降のS&P500の月間平均リターンと、各月がプラスになった確率を表しています。
月 | 平均リターン | プラス確率 |
1月 | 1.20% | 61.9% |
2月 | -0.09% | 52.6% |
3月 | 0.59% | 61.9% |
4月 | 1.30% | 65.6% |
5月 | 0.75% | 59.4% |
6月 | 0.73% | 57.3% |
7月 | 1.68% | 60.4% |
8月 | 0.65% | 57.3% |
9月 | -1.20% | 43.8% |
10月 | 0.55% | 59.4% |
11月 | 0.96% | 61.5% |
12月 | 1.32% | 74.0% |
確かに、9月は平均リターンが-1.2%と、1年間で最も低く、プラスになる確率も43.8%と半分を切っています。
つまり、9月は統計的に見て、米国株のパフォーマンスが最も悪い月と言えるでしょう。
しかし、他の月を見てみると、必ずしも5月から10月にかけて市場が低迷しているわけではありません。
例えば、7月は平均リターンが1.68%と高く、1年間で最もS&P500が上がる月となっています。
また、6月と8月もプラスリターンとなっており、3ヶ月連続で上昇傾向にあります。
つまり、セルインメイの格言は、一部正しいものの、全ての月に当てはまるわけではありません。
大統領選挙イヤーはセルインメイどころか「バイインメイ」!?
では、大統領選挙イヤーはどうでしょうか?
実は、大統領選挙イヤーには、通常の年とは異なる市場トレンドが現れることが分かっています。
以下の表は、1928年以降の大統領選挙イヤーにおける、S&P500の月間平均リターンと、各月がプラスになった確率を表しています。
月 | 平均リターン | プラス確率 |
1月 | 0.08% | 48.0% |
2月 | -0.10% | 52.0% |
3月 | 0.92% | 68.0% |
4月 | -0.01% | 58.3% |
5月 | -1.14% | 70.8% |
6月 | 1.44% | 79.2% |
7月 | 2.16% | 54.2% |
8月 | 3.09% | 70.8% |
9月 | -0.46% | 50.0% |
10月 | -0.34% | 58.3% |
11月 | 1.14% | 58.3% |
12月 | 1.51% | 83.3% |
通常の年と比較すると、6月、7月、8月のリターンが特に高くなっていることが分かります。
6月は79.2%の確率でプラスとなり、平均リターンは1.44%。
7月は54.2%の確率でプラスとなり、平均リターンは2.16%と、1年間で2番目に高いリターンとなっています。
8月は70.8%の確率でプラスとなり、平均リターンは3.09%。
つまり、大統領選挙イヤーは、セルインメイどころか、「バイインメイ」と言えるかもしれません。
大統領選挙と市場心理:なぜ「バイインメイ」となるのか?
大統領選挙イヤーに市場が好調になる理由として、以下の要因が考えられます。
- 政策期待: 大統領選挙が近づくにつれて、各候補の経済政策への期待が高まり、市場に資金が流入しやすくなる。
- 不確実性の解消: 選挙結果が確定することで、政治的な不確実性が解消され、企業の投資意欲が高まる。
- 景気刺激策: 新大統領は就任後、景気刺激策を実施する傾向があり、これが企業業績の改善や株価上昇につながる。
特に、2023年はインフレや景気後退懸念など、市場を取り巻く環境が不透明な状況です。
そのため、大統領選挙によって新しいリーダーシップが生まれ、政策への期待が高まることで、市場心理が改善し、株価が上昇する可能性があります。
大統領選挙イヤーの3ヶ月サイクルでリターンを最大化!
さらに、大統領選挙イヤーのS&P500のリターンを、3ヶ月ごとに見てみましょう。
期間 | 平均リターン | プラス確率 |
1-3月 | 0.42% | 60.0% |
2-4月 | -0.03% | 58.3% |
4-6月 | 0.55% | 62.5% |
6-8月 | 7.27% | 75.0% |
7-9月 | 62.5% | 62.5% |
8-10月 | 5.21% | 62.5% |
9-11月 | 0.57% | 66.7% |
10-12月 | 2.31% | 66.7% |
11-1月 | 3.43% | 75.0% |
最もリターンが高いのは、6月から8月までの3ヶ月間で、リターンは7.27%、プラスになる確率は75%となっています。
つまり、大統領選挙イヤーにおいて最もリターンを得やすい期間は、6月から8月までの3ヶ月間と言えるでしょう。
一方、9月から10月にかけては、大統領選挙が近づくにつれて、市場はナーバスになり、株価は低迷する傾向にあります。
しかし、大統領選挙が終わって、次の大統領が決まった後は、共和党であろうと民主党であろうと、市場は上昇する傾向にあります。
11月から1月までの3ヶ月間も、平均リターンは3.43%と高く、プラスになる確率も75%と、高いパフォーマンスが期待できます。
つまり、大統領選挙イヤーの投資戦略としては、5月に米国株を購入し、8月末に一旦売却、その後11月に再参入するという戦略が有効と言えるかもしれません。
投資のプロが実践する!大統領選挙イヤーの米国株投資戦略
では、実際に投資のプロは、大統領選挙イヤーにどのような投資戦略をとっているのでしょうか?
投資歴20年以上のベテラン投資家である、ハッチさんの投資事例を見てみましょう。
ハッチさんは、2020年12月から米国株をメインとした積立投資を行っており、現在6つの投資信託に投資をしています。
投資信託名 | 運用開始日 | 投資金額 | 評価額 | 損益 | リターン |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 2020年12月 | 893,000円 | 1,353,806円 | +460,806円 | +51.6% |
iFreeNEXT NASDAQ100インデックス | 2020年12月 | 873,000円 | 1,403,091円 | +530,091円 | +60.7% |
iFreeNEXT FANG+インデックス | 2021年1月 | 332,500円 | 625,723円 | +293,223円 | +88.2% |
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 2022年8月 | 74,070円 | 88,466円 | +14,396円 | +19.4% |
iFreeNEXT インド株式インデックス | 2022年9月 | 99,944円 | 119,740円 | +19,796円 | +19.8% |
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス | 2023年1月 | 62,500円 | 70,065円 | +7,565円 | +12.1% |
合計 | 2,335,014円 | 3,655,891円 | +1,320,877円 | +56.6% |
*注: 表中の数値は、2023年5月時点のものです。
その中でも、最も長く積立投資を行っているのが、S&P500とナスダック100に連動する投資信託で、それぞれ51.6%、60.7%のプラスとなっています。
これは、長期的に積立投資を続けることで、市場の変動に左右されずに安定したリターンを得ることができることを示しています。
また、ハッチさんは、長期的な成長性に着目し、FANG+、グローバルフィンテック株式ファンド、インド株ファンドにも投資を行っています。
これらのファンドも、それぞれ高いリターンを上げており、ハッチさんの投資戦略の成功を物語っています。
ハッチさんは、長期投資を前提としており、市場が下落しても投資をやめないことの大切さを強調しています。
「株価が下がったら諦めるのではなく、絶好の買い場である」
というハッチさんの言葉は、長期投資家にとって非常に重要な教訓と言えるでしょう。
結論: 大統領選挙イヤーの米国株投資は「バイインメイ」を参考に!
今回の記事では、セルインメイの真偽と、大統領選挙イヤーにおける米国株投資戦略について、豊富なデータと過去の事例を交えて解説しました。
過去のデータから、大統領選挙イヤーはセルインメイどころか、むしろ「バイインメイ」と言える可能性があることが分かりました。
特に、6月から8月にかけては、米国株のパフォーマンスが良く、リターンを得やすい期間となっています。
また、大統領選挙後の11月、12月も、イヤーエンドラリーが期待され、上昇トレンドに乗ることができるでしょう。
ただし、投資はあくまでも自己責任です。
今回の記事の内容は、あくまでも過去のデータに基づいた分析であり、将来のリターンを保証するものではありません。
投資を行う際には、ご自身の投資経験、リスク許容度、投資目標などを考慮し、慎重に判断するようにしましょう。
米国株投資に興味がある方は、この機会にマネックス証券の口座を開設し、長期的な視点で米国株投資に挑戦してみてはいかがでしょうか?
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