「老後の資産形成のためにiDeCoを始めたいけど、難しそうでよく分からない…」
そんな悩みをお持ちのあなたへ。iDeCoは、正しい知識さえあれば誰でも簡単に始められる、非常にお得な制度です。
本記事では、2024年12月に予定されている改正点を含め、iDeCoのメリット・デメリット、そして複雑な出口戦略まで、図解を交えながら分かりやすく解説します。
この記事を読めば、iDeCoの全てを理解し、あなたにとって最適な資産形成プランを立てることができるでしょう。
iDeCoとは?
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、 自分で毎月掛け金を積み立てて運用し、老後の生活資金を準備する私的年金制度 です。
国民年金、厚生年金に上乗せして、自分で老後資金を準備する「第3の年金」とも呼ばれています。
iDeCoは、加入者である 私たち自身が運用方法を選び、運用成果に応じて将来受け取る金額が変わります。
「運用」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、投資信託や保険など、初心者の方でも始めやすい商品が用意されていますのでご安心ください。
iDeCoがアツい理由とは?
iDeCoには、他の制度にはない大きなメリットがあります。
それは、 所得税・住民税が軽減される という点です。
iDeCoで積み立てたお金は、 全額所得控除 の対象となります。
所得控除とは、 課税対象となる所得金額から一定額を控除すること で、所得税・住民税の負担を軽減することができます。
つまり、 iDeCoに加入することで、その分税金が安くなる のです。
例えば、年収500万円の会社員の方が毎月2万3,000円をiDeCoで積み立てた場合、年間約5万5,700円の節税効果があります。
これは、 20年間続けると約111万円もの節税になる 計算です。
iDeCoのメリット・デメリット
iDeCoには、上記のような節税メリット以外にも、多くのメリットがあります。
一方、デメリットも存在しますので、加入前にしっかりと理解しておく必要があります。
メリット1:税金がお得!3つの税制優遇
iDeCoの最大のメリットは、 3つの税制優遇 が受けられることです。
- 掛金全額所得控除
- 運用益非課税
- 受給時の税制優遇
1. 掛金全額所得控除
iDeCoの掛金は、 全額所得控除の対象 となります。
つまり、 iDeCoに加入することで、その分所得税・住民税が安くなる ということです。
2. 運用益非課税
iDeCoで得られた 運用益は、非課税 となります。
通常、投資信託や株式投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、 iDeCoでは運用でどれだけ利益が出ても税金はかかりません。
3. 受給時の税制優遇
iDeCoで積み立てたお金を受け取る際にも、 税制優遇 があります。
一括で受け取る場合は 「退職所得控除」、年金として分割で受け取る場合は 「公的年金等控除」 が適用され、税負担を軽減することができます。
メリット2:老後資金を計画的に準備できる
iDeCoは、 毎月決まった金額を積み立てる ため、計画的に老後資金を準備することができます。
また、 60歳まで引き出すことができない ため、老後資金として確実に準備することができます。
メリット3:誰でも加入できる
iDeCoは、 自営業者、会社員、公務員、専業主婦(夫)など、職業を問わず加入することができます。
ただし、加入資格として 20歳以上60歳未満 である必要があります。
メリット4: 運用方法を自分で選べる
iDeCoは、 預貯金、投資信託、保険など、自分のリスク許容度やライフプランに合わせて運用方法を選ぶことができます。
ただし、投資には元本割れのリスクがあるため、注意が必要です。
デメリット1:60歳まで引き出せない
iDeCoは、 原則として60歳まで引き出すことができません。
そのため、 急な出費が必要になった場合でも、iDeCoの資金を使うことができません。
ただし、障害や死亡といった特別な事情がある場合は、例外的に引き出しが認められる場合があります。
デメリット2:元本割れのリスクがある
iDeCoは、 運用方法によっては元本割れのリスク があります。
特に、 投資信託 や 株式 などの価格変動リスクの高い商品で運用する場合、 元本割れを起こす可能性 があります。
デメリット3:受け取り時に税金がかかる
iDeCoは、 受け取り時にも税金がかかります。
一括で受け取る場合は 「退職所得控除」、年金として分割で受け取る場合は 「公的年金等控除」 が適用されますが、 税金がゼロになるわけではありません。
デメリット4:運営管理費用がかかる
iDeCoは、 加入時、運用時、給付時 に、運営管理費用などの手数料がかかります。
手数料は金融機関によって異なるため、 事前に確認しておくこと が重要です。
iDeCoの掛金はいくら?
iDeCoの掛金は、 加入者の職業や勤務先によって上限額が異なります。
職業 | 加入区分 | 掛金の上限額 |
会社員・公務員 | 企業年金DB、確定拠出年金DCなし | 20,000円 |
企業年金DBあり、確定拠出年金DCなし | 20,000円 | |
企業年金DBなし、確定拠出年金DCあり | 20,000円 | |
企業年金DBあり、確定拠出年金DCあり | 20,000円 | |
公務員(2024年12月改正後) | 20,000円 | |
自営業者 | 68,000円 | |
専業主婦(夫) | 23,000円 |
※DB(確定給付年金):企業が運用責任を負い、従業員にあらかじめ決められた額の年金を支給する制度。
※DC(確定拠出年金):従業員自身が運用方法を選び、運用成果に応じて将来受け取る金額が変わります。
2024年12月の改正では、公務員と企業年金DBに加入している会社員の掛金の上限額が20,000円に引き上げられます。
iDeCoの運用方法
iDeCoでは、 預貯金、投資信託、保険 など、様々な金融商品で運用することができます。
預貯金
元本割れのリスクが低く、安全性を重視したい方におすすめです。
ただし、 金利が低いため、大きな利益は期待できません。
投資信託
複数の株式や債券に投資することで、リスクを分散 しながら、 高いリターン を目指すことができます。
ただし、 元本割れのリスク があります。
保険
死亡保障 や 高度障害保障 などの 保障 を付けながら、 老後資金 を準備することができます。
ただし、 手数料が高くなる傾向 があります。
iDeCoの出口戦略:受け取り方
iDeCoで積み立てたお金は、 60歳以降 に受け取ることができます。
受け取り方には、大きく分けて 「一時金」 と 「年金」 の2種類があります。
一時金で受け取る場合
一時金で受け取る場合は、 「退職所得控除」 が適用されます。
退職所得控除とは、 退職金を受け取る際に適用される控除 で、 長期間にわたって勤労したことに対する税負担の軽減 を目的としています。
退職所得控除額は、勤続年数によって異なり、 最大で2,000万円 となります。
退職所得控除額 = 控除額 × 勤続年数
勤続年数 | 控除額 |
20年以下 | 40万円 |
20年超 | 40万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年) |
退職所得税の計算方法
退職所得税 = (退職所得金額 - 退職所得控除額) × 1/2 × 税率
一時金受取のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
まとまったお金を受け取ることができる | 税金が一度にかかる場合がある |
自由に使うことができる | 使い道を誤ると、老後資金が不足する可能性がある |
年金で受け取る場合
年金で受け取る場合は、 「公的年金等控除」 が適用されます。
公的年金等控除とは、 公的年金やiDeCoなどの年金を受け取る際に適用される控除 で、 老後の生活の安定を図る ことを目的としています。
公的年金等控除額は、 年金収入 によって異なり、 最大で120万円 となります。
年金所得税の計算方法
年金所得税 = (年金所得金額 - 公的年金等控除額) × 税率
年金受取のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
税負担が軽く、計画的に老後資金を使うことができる | 毎月決まった金額しか受け取れない |
長期にわたって安定収入を得ることができる | インフレリスクに弱い |
iDeCo出口戦略:受取時期
iDeCoの受け取り時期は、 60歳以降 で、 原則として70歳まで に受け取る必要があります。
受取時期によって、税金や社会保険料などが変わるため、注意が必要です。
退職金がある場合のiDeCo受取時期
退職金がある場合は、 iDeCoの受取時期と退職金の受取時期を調整 することで、税負担を軽減できる場合があります。
具体的には、 退職金を受け取る時期とiDeCoの受取時期を19年以上ずらす ことで、 退職所得控除を2回利用 することが可能となります。
iDeCo受取時の注意点
iDeCoの受取時には、以下の点に注意が必要です。
- 税金:一時金で受け取る場合は退職所得税、年金で受け取る場合は年金所得税がかかります。
- 社会保険料:年金で受け取る場合、国民健康保険料や介護保険料の負担が増える可能性があります。
- 金融機関の手数料:金融機関によって、一時金や年金の受け取り手数料が異なります。
iDeCoはやるべき?
ここまで、iDeCoのメリット・デメリット、出口戦略について解説してきました。
「結局、iDeCoはやった方がいいの?」
そう疑問に思われた方もいるのではないでしょうか?
結論から言うと、 iDeCoは、ほとんどの方にとって非常にお得な制度 と言えます。
特に、以下のような方は、iDeCoの利用を検討することをおすすめします。
- 節税対策をしたい方
- 長期的な資産形成をしたい方
- 老後資金を確実に準備したい方
一方、iDeCoは万能な制度ではありません。
以下のような方には、iDeCoが向いていない場合もあります。
- 60歳までお金を引き出す予定がある方
- 元本割れのリスクを取りたくない方
- 自分で運用するのが不安な方
iDeCoを始めるには?
iDeCoを始めるには、以下の手順を踏む必要があります。
- 金融機関を選ぶ
- 加入手続きをする
- 掛金を拠出し、運用を開始する
1. 金融機関を選ぶ
iDeCoは、 銀行、証券会社、保険会社 など、様々な金融機関で取り扱っています。
金融機関によって、 取扱商品 や 手数料 などが異なるため、 複数の金融機関を比較検討 し、自分に合った金融機関を選ぶことが重要です。
2. 加入手続きをする
金融機関を選んだら、 加入手続き を行います。
加入手続きは、 インターネット や 郵送 で行うことができます。
3. 掛金を拠出し、運用を開始する
加入手続きが完了したら、 掛金を拠出 し、 運用を開始 します。
掛金の拠出は、 毎月 または 毎年 行うことができます。
まとめ
今回は、iDeCoについて、メリット・デメリットから、複雑な出口戦略、そして始める際の手順までを解説しました。
iDeCoは、老後資金を準備するための非常に有効な手段です。
ぜひ、本記事を参考に、iDeCoへの加入を検討してみてはいかがでしょうか?